たんぱく質

人間のからだの内臓や筋肉など、大切な組織をつくる重要な栄養素がたん白質です。
これが不足すると、胎児の発育が遅れ、未熟児が生まれやすくなります。
また、出産後の母体の回復も遅れるということになります。
良質のたんぱく質を含んでいる食品として、
動物性のものには牛肉、豚肉、鶏肉、レバー、魚、卵、牛乳、チーズ、ハム、ソーセージ、かまぼこなどがあり、
植物性のものには、豆類、とうふ、納豆、油揚げ、きな粉などがあります。
たんぱく質とは?
蛋白質(たんぱくしつ)とは、プロテイン(protein)ともいい、L-アミノ酸が多数連結(重合)してできた高分子化合物であり、生物の重要な構成成分のひとつである。
学術用語としては、「蛋白質」という漢字表記は用いず、「タンパク質」と表記する。
連結したアミノ酸の個数が少ない場合にはペプチドもしくはポリペプチドと呼ばれることが多いが、名称の使い分けを決める明確なアミノ酸の個数が決まっているわけではないようである。
なお「蛋白質」の「蛋」とは卵のことを指し、卵白がタンパク質を主成分とすることによる。
栄養学者の故川島四郎が「蛋白質」では分かりにくいとして「卵白質」という語を使用したが、あまり流行らなかったようだ。
たんぱく質の栄養価
タンパク質の栄養素としての価値は、それに含まれる必須アミノ酸の構成比率によって優劣がある。
これを評価する基準としては、動物実験によって求める生物価とタンパク質正味利用率、化学的に、タンパク質を構成するアミノ酸の比率から算出するプロテインスコア、ケミカルスコア、アミノ酸スコアがある。
化学的に算定する後三者の方法は、算定方法に細かな違いがあるが、最終的には必須アミノ酸各々について標品における含量と標準とされる一覧とを比較し、その中で最も不足しているアミノ酸(これを第一制限アミノ酸という)について、標準との比率を百分率で示すもの。
この際、数値のみだけでなく、必ず第一制限アミノ酸の種類を付記することになっている。

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カルシウム

カルシウムは、骨や歯の主成分となりますから、胎児の発育に絶対欠かせません。
また、血液の凝固性を強め、神経をしずめ、疲れを防ぐ要素や援乳にも大きな影響を持ちますので、母体にとっても大切な栄養素です。
ですから、妊娠したらふだんの二倍くらいのカルシウムをとる必要があります。
カルシウムをたくさん含む食品には、小魚類、牛乳、チーズ、海草類、緑黄野菜などがあります。
カルシウムとは?
周期表第2族アルカリ土類金属元素の一種。
元素記号 Ca。「カルシウム」の名は、「石、砂利」を意味するラテン語「calx」に由来する。
銀白色の金属で、常温、常圧の安定結晶構造は面心立方構造 (FCC)。
比重は 1.55、融点は摂氏 839℃、沸点は摂氏 1494℃(融点、沸点は異なる実験値あり)。
常温で酸素やハロゲン元素と反応する。
常温で水ともゆるやかに反応(アルコールとも反応)。
アンモニア(液体)に溶ける。石灰岩等に含有されている。
また、ヒトの必須元素で、生体内には約1kgほど存在する。脳の活動を促す働きがあり、骨の主成分でもある。
1日当たりの必要量は約500mg/dayであり、周産期の婦人はこれの3倍強は必要である。
マグネシウムも同時に摂取しなければ意味がないとされる。

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鉄分

鉄分は血色素の主成分で、血液を作るうえで重要な役目を持っています。鉄分が不足すると貧血の原因になり、また疲れやすくなります。
妊娠中期過ぎになると貧血を起こしやすくなるのは、胎児が急速に大きくなってゆくため、一日に5ミリグラム近い鉄分が胎児に移行するためです。
妊婦は出産の際にある量の出血は避けられませんが、貧血がなおっていないと微弱陣痛や弛緩出血などの合併症が多くなり、出血量は増加します。
これは、産後の母体の回復を遅らせるだけでなく、まれには致命的にもなります。
鉄分を多く含む食品には、牛、豚、鶏のレバー、卵、大豆、海草類、緑黄野菜などがあります。
鉄分とは?
赤血球の中に含まれるヘモグロビンは、鉄のイオンを利用して酸素を運搬している。
そのため、体内の鉄分が不足すると、酸素の運搬量が十分でなくなり鉄欠乏性貧血を起こすことがあるため、鉄分を十分に補充する必要がある。
鉄分は、レバーやほうれん草などの食品に多く含まれ、これらを摂取することで改善される。
また鉄の溶解度が小さい土壌で育てられる植物などでは、鉄吸収が不足することで植物の成長が止まり黄化することがある。
この症状は、土壌に水溶性型の鉄肥料を与えるなどすると一時的に改善されるが、植物中に含まれる鉄量が増えるわけではなく、ビタミンAの含有量が増えることがわかっている。
したがって、鉄肥料を与えることは植物中の鉄分ではなくビタミンAを増やすことに役立つ。
植物の鉄欠乏を長期的に改善するには、土壌に大量の硫黄を投入するなどして、土壌質を変える必要がある。

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ビタミンA

ビタミン類が不足すると、他の栄養素が体内にとりいれられても、健康なからだを維持するために十分な効果はあげられません。
各種のビタミンは、少量ずつでも必ずとる必要があります。
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保ち、細菌に対する抵抗力を強めますが、妊婦がこのビタミンの欠乏症になると、流産しやすくなったり、胎児の骨の発育が悪くなったり、抵抗力が弱くなったりします。
肝油、バター、チーズ、牛乳、うなぎ、レバー、緑黄野菜などに、ビタミンAがたくさん含まれています。
ビタミンAとは?
ビタミンA(Vitamin A) とは、レチノール (Retinol、ビタミンAアルコールとも呼ばれる)、レチナール (Retinal、ビタミンAアルデヒドとも) 、レチノイン酸 (Retinoic Acid、ビタミンA酸とも)(これらをビタミンA1と呼ぶ) およびこれらの3-デヒドロ体(ビタミンA2と呼ぶ)と、その誘導体の総称で、ビタミンの中の脂溶性ビタミンに分類される。
化学的にはレチノイドと呼ばれる。
狭義にはレチノールのみを指してビタミンAと呼ぶこともある。
ビタミンAは動物にのみに見られる。
なお、β-カロチンなど、動物体内においてビタミンAに変換されるものを総称してプロビタミンAと呼ぶ。
プロビタミンAは動植物ともに見られる。
ヒト血液中のビタミンAはほとんどがレチノールである。
血中濃度は通常0.5μg/ml程度で、0.3μg/mlを切るとビタミンA欠乏症状を呈する。
β-カロチンが体内で、小腸の吸収上皮細胞(あるいは肝臓、腎臓)において分解されてビタミン A になる。
レチノイドの名前が網膜 (retina) に由来するように、網膜細胞の保護に用いられ、欠乏すると夜盲症などの症状を生じる。
また、DNAの遺伝子情報の制御にも用いられる。
右端の-CH2OH(アルコール形)の部分が、-CHO ならばレチナール(アルデヒド形)、-COOH ならばレチノイン酸(カルボン酸形)である。
左側にある環構造の左下の結合が二重結合になったものが3-デヒドロレチノールである。
人体においては、眼球の網膜上にある視細胞のうち、薄明視に重要な桿状体細胞において、桿体オプシン(蛋白質)とリシン残基を介して結合し、ロドプシンとなる。
ビタミンAはロドプシンの発色団となる。
ロドプシンは視色素と呼ばれる一群の物質の一つで、視細胞における、光による興奮(視興奮)の引き金機構として重要な物質である。
レチノイン酸は、ムコ多糖の生合成を促進して、細胞膜の抵抗性を増強するといわれている。

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ビタミンB1

ビタミンB1が欠乏すると、脚気(かっけ)やむくみの症状が出て、便秘、食欲不振、心肥大、神経炎などがおこります。
妊婦の場合はその他にも、早産・死産の原因となったり、生まれてきた胎児も虚弱児になりやすいといわれています。
また、分娩が長びいたり、産後の子宮の回復が遅れるという影響も出ます。
レバー、肉類、豆類、牛乳、緑黄野菜などがビタミンB1を多く含む食品です。
ビタミンB1とは?
チアミン (Thiamin, Thiamine) は、ビタミンB1 (Vitamin B1) とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。
サイアミン、アノイリンとも呼ばれる。日本では1910年に鈴木梅太郎がこの物質を米糠から抽出し、1912年にオリザニンと命名したことでも知られる。
脚気を予防する因子として発見された。
2-メチル-4-アミノ-5-ヒドロキシメチルピリミジン(ピリミジン部、OPM、構造式左半分の六角形の部分)と4-アミノ-5-ヒドロキシエチルチアゾール(チアゾール部、Th、構造式右半分の五角形の部分)がメチレン基を介して結合したもの。
生体内では、各組織においてチアミンピロリン酸(チアミン二リン酸)に変換される。
チアミン二リン酸は、生体内において各種酵素の補酵素として働く(後述)。
チアミン三リン酸は、シナプス小胞において、アセチルコリンの遊離を促進し、神経伝達に関与するといわれている。
糖質および分岐脂肪酸の代謝に用いられ、不足すると脚気や神経炎などの症状を生じる。卵、乳、豆類に多く含有される。
血中濃度は通常68.1±32.1ng/mlで40ng/mlを切ると脚気などの欠乏症状があらわれるといわれている。
リン酸基は構造式右側の水酸基(赤い部分)に結合する。
結合するリン酸の長さにより、チアミン一リン酸(TMP; thiamine monophosphate)、チアミン二リン酸(TPP; thiamine pyro-phosphate)、チアミン三リン酸(TTP; thiamine tri-phosphate)がある。

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ビタミンB2

ビタミンB2が不足すると、口内炎や角膜炎、皮膚疾患などがおこりますが、妊婦はさらに、妊娠中毒症や胎児の発育障害をおこすおそれがあります。
ビタミンB2はリボフラビンともいい、黄-黄だいだい色のビタミンです。
発育のビタミンと呼ばれ、正常な発育には不可欠で、不足すると成長不良になるので、妊娠時や成長期の子供にはとても大切な成分です。
糖質、脂質、タンパク質の代謝に必要で、特に脂肪からエネルギーを作るときに補酵素として働きます。
従って、脂肪摂取が増えると必要量も増えます。
また、肌や粘膜の健康を保つ働きがあるので、美肌のビタミンと呼ばれることもあります。
不足すると、肌が脂っぽくなったり、小鼻のわきなどに脂肪のぶつぶつができる脂漏性皮膚炎や吹き出物ができます。
このほか、口内炎、舌がはれて痛む舌炎、唇がはれて赤くなる口唇炎など、不足すると皮膚炎を起こします。
これは、必須脂肪酸から作られる生理活性物質のひとつ、プロスタグランジンの不足を招くためと考えられています。
最近では、動脈硬化の原因になる過酸化脂質の分解を促す作用も注目されています。
日ごろから、多めにとるようにしましょう。
ビタミンB2を豊富に含む食品としては、レバー、酵母、卵、肉類、牛乳、緑黄野菜などがあります。
ビタミンB2とは?
リボフラビン (Riboflavin) は、ビタミンB2 (Vitamin B2) とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質で、ヘテロ環状イソアロキサジン環に糖アルコールのリビトールが結合したものである。
かつては成長因子 (growth factor) として知られていたことからビタミンGと呼ばれたこともある。
生体内においては脂肪、炭水化物および蛋白質の代謝や呼吸、赤血球の形成、抗体の生産、正常な発育に必要とされる。
甲状腺の正常な活性の維持や、皮膚、爪あるいは頭髪をはじめ体全体の正常な健康状態の維持に不可欠であり、不足すると舌炎や皮膚炎などの症状を生じる。
リボフラビンは、白内障を含む多くの眼の疾患の予防や治療に役立ち、眼の充血、乾燥、かゆみ、眼精疲労といった症状を改善することもある。
乳、卵白、ホウレンソウに多く含有される。

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ビタミンC

ビタミンCはホルモンの分泌機能の維持に役立ち、血液の凝固作用を強めたり、細菌に対する抵抗力を強めます。
このビタミンCが不足すると、壊血病や皮下出血をおこしますが、妊娠時に欠乏した場合には、妊娠中毒症と早・流産の危険も生じます。
その他、貧血や分娩時の多量の出血、さらに胎児の発育不良といった悪影響があります。
柑橘類(レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ)、アセロラ、キウイフルーツ、トマトはビタミンCの含有量が非常に多い。
その他にビタミンCの多く含まれる食品としては、グァバ、パパイヤ、ブロッコリー、芽キャベツ、ブラックベリー、イチゴ、カリフラワー、ほうれん草、マスクメロン、ブルーベリーがある。
多くの食品やサプリメントにおいて、「レモン○個分のビタミンC」という表現が用いられるが、このとき「レモン1個分のビタミンC」は20mgに換算される。
なお、この表記は農林水産省によって昭和62年に制定された「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」によるものであるが、ビタミンCが主成分であるビタミン添加菓子を対象とするものであり、それ以外の食品やサプリメントに対して用いることは適当でない。
ビタミンCとは?
ビタミンC (Vitamin C) とは、アスコルビン酸(C6H10O6)のうち特にL型の光学異性体の方を指す。
水溶性ビタミンであり、生体の活動においてさまざまな局面で重要な役割を果たしている。
人間は、アスコルビン酸を生体内で合成できないために、その必要量をすべて食事などによって外部から摂取する必要があることから、ビタミン類として扱われている。
一方、多くの動物にとっては、アスコルビン酸は生体内で生合成できる物質である。
体内で合成できないのは、モルモットや霊長類の一部(人間を含む)など一部だけである。

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ビタミンB12

アメリカの標準によると、妊娠中の母親は毎日2.2μg、哺乳中の母親は2.6μgを必要とします。(参考までに、成人男性の一日のビタミンB12の推奨摂取量は2~5μg。)
菜食の母親は特に不足しがちですので、のりや酵母(イースト)、卵や牛乳・チーズなどの乳製品から意識して摂取するようにしましょう。
毎日一個の卵と2~3杯の牛乳があれば、十分のビタミンB12が補充できます。
1種類の食品で摂取する場合、卵だと4~5個(黄身100グラム中にはビタミンB12が2.4μg含まれています。)のりだと、全版1~3枚。牛乳だと、1リットル必要です。
B12は、DNAの合成、造血の過程と神経発育において一番重要な役割を果たし、充分にあると落ち着きが出て、記憶力・集中力を高める効果があります。
また、悪性貧血を予防し、神経の働きを正常に保ちます。
ほかに神経伝導素の合成にも必要です。また、葉酸と協力して赤血球の合成を助けています。
 
逆に欠乏すると巨紅血球型貧血、成長が遅い、神経の発育不良などの病気にかかります。
神経過敏になり、ふさぎ込んだりします。
貧血や身体がだるくなり、記憶力・集中力が低下します。
その他 舌の痛みを伴う炎症、味覚の低下、目の神経系の機能障害、食欲不振や消化不良・下痢、手足のしびれ・痛み、運動失調など。
成人菜食者の血の中は、ビタミンB12の濃度が低くても、生理機能に影響はありません。
但し、妊娠と哺乳期間中、母親は自分と赤ちゃんに必要な分を摂らなければ、赤ちゃんの神経系統の発育に影響が出ます。
6ヶ月以下の赤ちゃんは、毎日ビタミンB12を0.3μg必要とします。
6~12ヶ月目になったら、0.5μgが必要です。
母乳の量が足りない場合は、ほかにビタミンB12のミルク或いは赤ちゃん用の食品による補充さえすれば、赤ちゃんは健康に成長していきます。
もし、ビタミンB12不足の症状が出たら、すぐに補充すれば赤ちゃんは正常に回復します。
ビタミンB12とは?
シアノコバラミン(Cyanocobalamin、コバラミン、Cobalamin)は、ヒドロキソコバラミンともにビタミンB12 (Vitamin B12) とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。
C63H88O14N14PCo(分子量1355.4)
B群ビタミンのひとつだが、12は見付かった順番を表す数字ではない。
相継いで発見されたB群ビタミンと重複しないように大き目の数字を付けたらしい。
シアノコバラミンは化合物を単離する際の人工産物で、喫煙者などの特殊な場合を除き、体内ではシアノコバラミンは存在していないと考えるのが普通になっている。
ポルフィリン類似のコリン環(図の赤色部位)とヌクレオチド(図の緑色部位)の構造をもつ、コバルトの錯体である。
アミノ酸や脂肪酸の代謝および葉酸の生合成に用いられる。
これ自体に補酵素活性は無く、生体内で補酵素型であるメチルコバラミンおよびアデノシルコバラミンに変換される。

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