乳児下痢症(にゅうじげりしょう)

『乳児下痢症とは?』
 
ウイルス性胃腸炎ともいい、ウイルスなどの病原体が胃腸に感染して起こる病気です。
感染ウイルスには、ロタウイルス、小型球形ウイルス、アデノウイルスなどがあり、ロタウイルスが感染して発症することが多いです。
最初の症状は嘔吐、ここから次第に下痢を生じるようになり、発熱を伴うことも。
下痢は水溶性で、血液が混じることもあります。
ロタウイルスが原因となっている場合は、酸っぱいにおいがし、米のとぎ汁のような白っぽい便が1日に何度もでます。
嘔吐と下痢のために、脱水症状が引き起こされることも多く、症状が悪化するとぐったりしたり、尿の出が悪くなることもあります。
『治療方法と注意』
ベビー用イオン飲料、麦茶、湯さましなどで十分な水分補給を与えましょう。
このとき、一度に与えると吐きやすいので、何回かに分けて飲ませましょう。
食欲がなければ無理に食べさせなくてもいいですが、水分補給は大事です。
水分がとれないときは、すぐに受診しましょう。
離乳食が食べられそうなときは、症状をみながら、よく煮たおかゆなど消化のいいものを少しずつ与えましょう。
ロタウイルスは感染力が強く、唾液や排泄物から経口感染します。
潜伏期間は2~4日、寒くなり始める頃に多く発生し、春先まで流行するため、冬の下痢の代表的なものに挙げられます。
何度も下痢をすることきは、おしりがかぶれないよう清潔にするよう心がけることも大切です。

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細菌性胃腸炎(さいきんせいいちょうえん)

『細菌性胃腸炎とは?』
細菌性胃腸炎ともよばれ、食後に激しい下痢や嘔吐、腹痛が起こったときや、家族にも同様の症状が起こったとき、とくに血便が見られたときは、細菌性胃腸炎の可能性が高いといえます。
原因となる細菌にはいくつかあり、その種類によって症状が異なります。
サルモネラ菌
牛や豚、鶏の糞便にいる菌で、これらの肉類や卵、加工品、乳製品にもいる菌です。
とくに卵は集団食中毒の原因の半数を占めるので、子供に卵を与えるときは、必ず火を通したほうがよいといえます。
また、ミドリガメなどのペットから感染することもあります。
8月をピークに、5~10月の気温が高い時期の感染が傾向として多く、感染して12~24時間で、激しい下痢や嘔吐、発熱などの症状が出ます。悪化すると、ひきつけや意識障害が起こることも。
カンピロバクター菌
 
牛、豚、鶏、犬や猫などのペットの糞便にいる菌で、鶏肉の半数にこの菌がいるといわれます。
感染して3~10日間で感染し、発熱や嘔吐に加え、1日に何回も水溶性のうんちが出ます。
病原性大腸菌
 
大腸菌は人や動物の腸管に存在する菌で、ほとんどは病原菌ではありません。
病原性があるものは、組織侵入性大腸菌(そしきしんにゅうせいだいちょうきん)、毒素原性大腸菌(そしきげんせいだいちょうきん)、腸管病原性大腸菌(ちょうかんびょうげんせいだいちょうきん)、腸管出血性大腸菌(ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん)の4種類です。
中でも注意が必要なのが、O-157に代表される、腸管出血性大腸菌で、とても感染力が強く、人から人へも感染します。
感染して2~7日で発症し、下痢や激しい腹痛、発熱、倦怠感のあと、大量の鮮血便が見られるのが特徴です。
乳幼児の場合は、急性腎不全や急性脳症を起こして死にいたる危険性もあります。
『治療方法と注意』
細菌性胃腸炎と疑われる症状が出たら、すぐに受診をしましょう。
細菌性胃腸炎では、細菌に感染したうんちをすべて体外に排出するため、下痢がひどくても下痢止めを使用しないこともあります。
症状が重いときは入院することもあります。家庭では、水分補給に心がけましょう。
食中毒を予防するため、食品や調理器具は衛生管理に気をつけることが大切です。
70度以上の加熱を数分行えば、ほとんどの病原菌は死滅しますので、乳幼児期には必ず火を通したものを与えましょう。
このほか、冷蔵庫のなかは定期的に中のものを取り出して、アルコールなどで殺菌消毒するようにしましょう。
ペットから感染することもあるので、ペットを触った後や、外から帰ってきた後、食事前などは、手を石鹸で洗うことをおすすめします。

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胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)

『胆道閉鎖症とは?』
胆道とは、肝臓から腸に胆汁(たんじゅう)を送る管のこと。
この胆道が生まれつき塞がっていると、胆汁が腸まで流れず、肝臓にたまってしまう病気です。
生後2週間くらいを過ぎても黄疸(おうだん)が軽くならず、生後1ヶ月くらいで緑がかった黄疸が目立ってきます。
普通、うんちの色は茶色いですが、これは胆汁がうんちに排出されているためであり、胆道が塞がって胆汁が排出されないと、うんちの色は薄くなります。クリーム色~白色。
病状が悪化すると、肝臓が腫れて腹水(ふくすい)がたまり、おなかが膨らんできます。
さらに悪化すると肝硬変になることも。肝硬変とは、肝臓の細胞が破壊されて肝臓全体が硬くなる病気。
呼吸困難や吐血を伴い、死にいたるケースもあります。
 
ウンチの色が病気発見の手がかりとなるため、異常を発見したら、すぐに受診を。

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肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんしょう)

『肥厚性幽門狭窄症とは?』
飲んだおっぱいやミルクが胃から逆流して吐いてしまう病気で女の子よりも男の子のほうに多く見られます。
胃の出口にあたり、十二指腸につながる幽門という部分の筋肉が異常に厚くなるために起こります。
それまでおっぱいやミルクをよく飲んでいた赤ちゃんが、生後2~4週ごろから授乳後によく吐くようになります。
最初の頃は口のなかにあふれる程度だったものが、だんだん回数が増えていき、飲んだ直後に噴水のように勢いよく吐くようになります。
激しい嘔吐のため、脱水症状も起こしやすくなります。
こういった症状がみられ、体重が増えなくなったときは、早めの受診を。

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不整脈(ふせいみゃく)

『不整脈とは?』
心臓の収縮の間隔が乱れる病気が不整脈です。
生まれつきの原因で起こる場合と、心疾患などの病気に伴って起こる場合とがあります。
急に元気がなくなったり、おっぱいやミルクの飲みが悪くなったりします。
すぐに治療が必要な場合は少ないのですが、定期的に受診して、経過を観察しましょう。

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動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)

『動脈管開存症とは?』
ママのおなかにいる赤ちゃんは、体の血液循環を胎盤を通して行っています。
おなかにいる赤ちゃんは、自分の肺に血液を送る必要がないため、肺動脈の血液は直接大動脈へ流れていきます。
この肺動脈と大動脈を結ぶ太い血管を動脈管といいます。
動脈管は、生後まもなく自分で呼吸を始めると自然に閉じるようになっています。
閉じるはずの動脈管が開いたままなのが動脈管開存症で、生後数日の低出生体重児によく見られます。
動脈管開存症が続くと、大動脈から全身に送られるはずの動脈血の一部が、動脈管を通って肺動脈へ逆流し、肺へ流れ込んでしまいます。
このため、肺に負担がかかり、さらには心臓のポンプとしての働きを低下させてしまいます。
体重があまり増えない、呼吸が苦しい、おっぱいやミルクの飲みが悪いなどの症状が現れます。
肺動脈に逆流する血液の量が多いほど肺への負担が増すので、動脈管が太いほど重い症状が現れます。
動脈管が細く、軽症であれば症状はほとんどありませんが、重症の場合は肺へ血液が多く流れ込む肺高血圧症が見られることも有ります。
新生児期は薬の服用で、動脈管を閉鎖できることがありますが、それ以外は手術が必要となります。

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心筋症(しんきんしょう)

『心筋症とは?』
心筋とは、心臓の心房や心室といった内部空間を覆っている、分厚く特殊な筋肉です。
原因不明で、心筋の細胞に異常が起こる病気が心筋症で、心臓の壁が薄くなったり逆に厚くなったりして、心臓の働きが低下します。
とくに多いのが拡張型心筋症と、肥大型心筋症です。
拡張型は心臓の壁が薄くのびてしまい、血液が正常に送り出せなくなります。
息切れ、動悸、めまい、足のむくみなどの症状が見られ、重症になると全身にむくみが出たり、不整脈になったりします。
肥大型は、心臓の壁が部分的に異常に厚くなるものです。
目立った症状はないものの、動悸、めまい、息切れ、胸の痛みを起こすことがあります。
拡張型、肥大型ともに、治療は薬物によるもののほか、感染症予防や運動の制限などの生活指導、塩分の制御などの食事指導が中心となります。

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心筋炎(しんきんえん)

『心筋炎とは?』
ウイルスの感染により、心筋全体が炎症を起こす病気。
発熱やせきなど、風邪症候群やインフルエンザ、はしかなのど症状が現れた後、数日から1週間くらいの間に動悸や呼吸困難が起こり、嘔吐する場合もあります。
重症になると、全身がむくみ、意識障害になることもあるほか、急激に病状が進行すると、突然死することもあります。
逆に、症状がほとんど現れず、自然と治る場合もありますが、一度心筋炎になると不整脈などの後遺症が残る可能性もありますので注意が必要です。
呼びかけても反応しないなどの意識障害が現れたら、体を揺すったりせず、一刻も早く救急車で病院に搬送する必要があります。

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川崎病(かわさきびょう)

『川崎病とは?』
原因不明で、全身の血管が炎症を起こすもので、高熱が続き、全身に発疹が出ます。
生後6ヶ月~1歳半の乳幼児が、患者の8割を占める病気です。
ちなみにこの病名は、1967年に川崎富作博士によって報告されたことに由来します。
症状としては、5日以上続く高熱、発疹、目の充血、手のひらや足の裏やそれぞれの指が腫れる、唇が赤い、頸部のリンパ節が腫れる、BCG接種の跡が赤くなるなどです。
これらの症状が1~2週間ほどたって消えた後、手足の指先の皮膚がボロボロとむけるといった、川崎病の特徴的な症状が現れます。
ごくまれに心臓や血管に後遺症が残ることもあるため、川崎病の治療では後遺症の予防が重要となります。
治療には入院が必要で、後遺症の有無も検査します。

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貧血(ひんけつ)

『貧血とは?』
赤血球に含まれるヘモグロビンは、酸素を体のすみずみに運ぶ役割を果たしています。
このヘモグロビンの濃度が、通常より低くなった状態、これが貧血です。
貧血になると、筋肉や脳への酸素供給が低下し、組織としてうまく働かない状態に陥ります。
貧血が起こる原因には以下のようなものが挙げられます。
鉄欠乏性貧血
 
乳幼児に最も多く見られる貧血で、ヘモグロビンにふくまれる鉄分が不足して、ヘモグロビンの合成がうまくできなくなるために起こります。
程度が軽いときは、ほとんど症状が見られませんが、少し重くなると顔色が悪い、機嫌が悪いなどの症状が。
鉄分の服用が、改善策となりますが、根本的な解決のためには食事の内容を見直す必要があります。
鉄分を多く含む食品をとるよう、心がけましょう。
溶血性貧血
 
赤血球が何らかの原因によって、作られる以上のスピードで壊され、減少することから起こる貧血。
先天性と後天性があり、悪化すると黄疸が見られることも有ります。
先天性のものは薬で治すことはできません。
重症になると脾臓(ひぞう)を摘出することもあります。
後天性のものは薬剤により治療します。
再生不良性貧血
骨髄の異常が原因で、赤血球、白血球、血小板が減少する病気。
白血球が減少することによりいろいろな感染症にかかりやすくなるほか、血小板の減少により、鼻血や歯ぐきからの出血、皮下出血が起こりやすくなります。
このため、日頃からけがをしないよう気をつける必要があります。
通常は、出血と感染を予防する薬物療法、重症の場合は骨髄移植を行うことになります。
未熟児貧血
 
出生体重が、1500g以下の赤ちゃんによく見られる貧血で、生後1ヶ月以降に現れます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、血液を作る機能が未熟ですが、未熟児の赤ちゃんはこの機能がさらに未熟なため、なりやすい貧血です。
出産後に検査を受け、貧血が認められたら、増血剤や鉄剤を投与します。
鉄分をあまり貯蓄できないため、定期的に補う必要があり、貧血の程度によって通院したり、自宅にて鉄剤を服用したりします。

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