「産む前に産着を縫うな」とは?

「産む前に産着を縫うな」というのは、産後しばらくは赤ちゃんを布や綿でくるみ、お七夜などしばらく日にちが経ってから(この辺は地域によってさまざま)始めて産着を着せてそれを祝うものがあります。
この伝承は妊娠から出産前後に赤ちゃんが亡くなったとき、親のダメージを少しでも減らせるよう工夫があるように思えます。
昔の死亡率の高さがうかがうことができます。
ところで産む前に産着を縫わないと、今と違って既製品もあまりない時代では産後に産着を縫うことになってしまいます。
「産後3週間は床上げをしない」という言い伝えによって産後は労働から保護されていますが、産んだばかりの母親が今しかないと産着を縫う光景が浮かびませんか。
このような光景を思い浮かべると「産後は目を使いすぎると悪くなる」という言い伝えが思い出されます。
産後は(人にもよりますが)体力が弱っていますので、栄養状態も現在と全く違う昔はあまり目を酷使してほしくなかったのかもしれません。
私たちのおばあちゃん以前の世代が産後に新聞や本で目を「使いすぎる」とも考えにくいので(テレビもないし)目を使いすぎるのは裁縫のことではないかと考えられます。
言い伝えも「脅し」の部分ではなく根本の方針さえ意識すれば、昔の知恵をはじめて生活に生かせるのではないでしょうか。
出産事情も衣服の用意の仕方も、生活そのものがガラリと変わった今、この言い伝えは終わろうとしているように見えます。(でも産後に目の使いすぎは気をつけてくださいね。大事な体の一部ですもの)

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