風邪症候群(かぜしょうこうぐん)

『風邪症候群とは?』
原因の多くはウイルス感染です。気道は、鼻腔、咽頭、口頭の上気道に分かれますが、このうちウイルスの感染によって炎症を起こすのが風邪感染症候群です。
主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛み、発熱などです。ウイルスがついた部位によって症状の出方に違いがあり、花の粘膜につけば鼻水や鼻づまりなどの症状が出ますし、のどにつけばせきやのどの痛みが強く出てきます。腹痛や下痢、おなかや手、足に発疹が出たりすることもあります。
また、中耳炎を引き起こす場合もあります。
6ヶ月くらいまでの赤ちゃんはママから免疫をもらっているので風邪を引いてもあまり高い熱を出しません。
37度台くらいまで治るでしょう。6ヶ月を過ぎると免疫がなくなり始め、それ以前に比べて症状が重くなります。
風邪ウイルスの種類は何百種類もあるといわれていて、風邪を引いて1つのウイルスに対する免疫ができても、また別のウイルスに感染すれば、繰り返し風邪を引きます。
乳幼児にとって、風症候群はもっともポピュラーな病気で風邪にかかりながら抵抗力をつけていくということになります。
症状が軽く、赤ちゃんの機嫌が良く食欲もある場合は2~3日様子をみても構いません。
しかし、38度以上の熱があり、せきや鼻水などの症状がひどく下痢をしたり、ぐったりしているときは早めに受診してください。
熱が高くなくても顔色が悪く、不機嫌で食欲がない場合も、やはり受診しましょう。
『治療方法と注意』
治療はウイルスに直接働きかけて症状を抑えるのではなく、対症療法で症状を和らげます。
熱や痛みには解熱鎮痛薬、せきやたんにはせき止めやたんを出しやすくする薬、鼻づまりには抗ヒスタミン薬などが使われます。
合併症を防ぐために、抗菌薬が使われることもあります。
風邪を引いてママが一番心配するのは熱です。
熱は病原体の力を弱めるとともに、体の免疫力を高める効果があります。
風邪では自分の出す熱で脳に影響が出るということはまずありません。
あわてて解熱薬を使う前に、いくつかの条件を考慮したうえで判断してください。
38.5度以上あり、前の解熱葯使用から8時間以上たっている時に使いましょう。小児では副作用が少ないアセトアミノフェンが良く使われます。
解熱薬を処方されたら医師に使用法を十分に確認しておくことが大切です。
嘔吐や下痢がある場合は、消化がいいおかゆやうどんなどを食べさせるといいでしょう。
柑橘類の飲み物は、下痢を悪化させるので避けましょう。それ以外の食事なら、脂っこいものを避ければ、好みの食事で大丈夫です。
熱があるときは、脱水症状にならないようにし、湯冷まし、麦茶、ベビー用イオン飲料などをこまめにのませます。
入浴は、熱がある程度下がれば軽くシャワーしてあげましょう。ただ、体力が落ちていますから、短時間でサッと済ませて。
熱があるときは汗をかきやすいので蒸しタオルで体を拭いてあげるとさっぱりします。

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おたふくかぜ

『おたふくかぜとは?』
ムンプスウイルスの飛沫感染によってうつり、潜伏期間は16~18日です。
耳の下の耳下腺という唾液腺が炎症を起こして腫れ、痛みを伴う病気です。
耳下腺の腫れは両側だったり、片側だったりします。
同時に腫れることもあれば、はじめに片側が腫れて2~3日してから反対側が腫れることもあります。
また、耳下腺だけでなくあごの下の顎下線が腫れることもあります。
熱は38度前後でそれほど高くなりませんし、全くでない場合もあります。
発病してから7~9日はうつる可能性があるので注意が必要です。
唾液腺から唾液を出す管が腫れるので唾液がでると痛くなります。
あまりかまなくてもいいものを与えましょう。熱は2~3日で引き、4日~約1週間で腫れもひいてきます。
『治療方法と注意』
安静にして、自然に治るのを待ちます。
食べ物を噛んだり、唾液が分泌されると痛むので、柑橘類などの酸っぱいものは避け、のどごしのいいものを与え、水分補給もしっかり行います。
腫れた頬の痛みを和らげるには、ぬれたタオルで冷やします。
逆に温めたほうが気持ちがいいのであれば、温湿布などをしてあげましょう。
まれに、耳下腺が腫れて3~10日後に激しい頭痛や嘔吐などの症状がでる無菌性髄膜炎や、難聴や睾丸が腫れて痛む睾丸炎などの合併症を起こすことが。
大人の男性が睾丸炎になると、まれに子供ができなくなる場合もあるので注意が必要です。
2歳から9歳ごろにかかることが多く、一度かかれば免疫がつきますが、後に耳下腺が腫れることがあります。
これはウイルスで起こる場合が多く、症状も軽くすみます。
母乳を与えているママがおたふく風邪とわかったときは、診断がつく前の潜伏期間に赤ちゃんに感染している可能性があります。
赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。

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はしか

『はしかとは?』
感染力が強く、潜伏期間は10~12日。
38度前後の熱から、せき、くしゃみ、鼻水などの風邪症状や、口の中やのどが赤くなる、目やにや充血といった症状も加わり徐々に悪化。
3~4日後にはいったん熱は下がりますが、すぐに上昇します。
この頃口の中のほおの内側に小さな白いブツブツが数個~数十個見られます。
これはコブリック斑といい、はしか特有の症状で診断の重要な手がかりとなります。
この後すぐ後に顔や体へと発疹が広がります。
2度目の発熱後、1週間ほどで発疹が赤から赤褐色に変わり、色素沈着を残すことはあります。
その頃には熱も下がり、急速に回復に向かいます。
『治療方法と注意』 
特効薬はないので、安静にして症状を軽くする薬で体力の消耗を防ぎます。
肺炎、気管支炎、脳炎などの合併症に注意してください。
発疹が出て1週間を過ぎても熱が下がらない、せきがひどい、全身状態が悪いときは必ず受診を。
はしかはかかったひとの約1000人に一人は死亡する可能性がある恐ろしい病気です。
唯一の対抗手段は予防接種なので、1歳を過ぎたらすぐに受けましょう。

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風疹(ふうしん)

『風疹とは?』
風疹ウイルスの飛沫感染によって起こるかるいはしかのような病気で、発疹が三日ほどで消えることから三日ばしかと呼ばれています。
潜伏期間は2~3週間。回復期に合併症の脳炎を起こすこともあるため、軽視は禁物。
せきや鼻水などの風邪のような症状に始まり、顔や耳の後ろに小さな赤い発疹が出て全身に広がります。
はしかの発疹よりまばらで小さく、色も薄いです。発疹同士がくっついて大きくなったりすることはなく、色素沈着もありませんが、のどや目が赤くなることがあります。
発疹が出る少し前から耳の後ろや首のリンパ節が腫れてきます。
熱は37~38度くらいでそれほど高くはなく、出ない場合もあります。
耳の後ろやリンパ節の晴れは3週間以上続くことがありますが、熱やせき、発疹などは3~4日で治ります。
発疹が出る数日前から発疹が出てから5日くらいまでは、人にうつる可能性があります。
とくに妊婦に感染すると胎児に影響が出る可能性があるので注意が必要です。
乳幼児の場合は比較的症状がかるい病気ですが、小学校高学年から大人がかかると高熱が続いたり、発疹が驚くほどたくさん出ることがあります。
『治療方法と注意』
熱と発疹が出たら、すぐ受診を。
軽症のときは問題ありませんが、溶連菌感染症に似ていることもあり、抗体検査をすることもあります。
高熱が続くようなら入院することもありますが、たいていは自然に治ります。
熱があるときは、消化がよく口当たりのいいものを与え、水分補給を心がけて脱水症状を防ぎます。
元気であれば寝ている必要はありません。
普段どおりにすごして大丈夫です。
ただしほかの人に移す恐れがあるので、発疹が消え、医師の許可が出るまでは、家の中ですごしましょう。
 
また、この病気で心配なのは、妊婦が妊娠初期に感染するとおなかの赤ちゃんにも感染して、白内障、心臓病、難聴などの障害を持って生まれる可能性が出てくることです。
子供が1歳を過ぎたら必ず予防接種を受けさせましょう。

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水疱瘡(みずぼうそう)

『水疱瘡とは?』
水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって起こり、潜伏期間は2~3週間です。
37~38度ほどの熱と同時に、頭や顔に虫刺されのようなかゆみを伴う発疹が現れ半日から2日ほどで全身に広がります。
発疹は口の中やまぶた、陰部などの粘膜にもできます。
やがて小豆大の水痘に変わり、さらに2~3日後には乾いてしぼみ、黒いかさぶたになってはがれ落ちます。
全部が黒いかさぶたになって乾いたら治ります。
発疹ができてから治るまでの期間はだいたい10日前後です。
『治療方法と注意』
水とかが出たときや破れるとき、ひどくかゆがります。
かゆみを抑えたり発疹をかきこわして化膿したときは、抗ヒスタミン薬や抗菌薬の内服薬や軟膏などが処方されることがあります。
水疱をかきこわすと跡が残りやすいので、つめを短く切り、清潔にしましょう。
熱は1~2日出ることがありますが、解熱薬は使用せず様子を見てください。
水痘が1つか2つ程度の受診は早すぎて診断がつかないこともありますが、まだ症状が出るかでないかの早い時期にアシクロビルという抗ウイルス薬をタイミングよく服用させると、発病しても軽くてすみます。

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インフルエンザ

『インフルエンザとは?』
インフルエンザウイルスに感染することによって起こり、かなりの勢いで感染が広がる病気です。
感染者のくしゃみやせきによって飛び散ったウイルスが鼻やのど、気管支などに入りこんで炎症をおこします。
潜伏期間は1~3日。
ウイルスの種類によって特徴的な症状が異なりますが、寒気を伴う高い熱を出す場合が多く、せき、のどの痛み、鼻水、ずつ、筋肉や関節の痛み、時には吐き気、下痢、腹痛などの消化器系の症状を引き起こします。
発熱は1週間近く続きます。
風邪の症状に比較的にていますが、自己判断で風邪薬を飲ませると症状が悪化する場合があるので医師の診察を受けましょう。
まれに月齢の低い赤ちゃんがかかると細気管支炎を起こすことがあります。
もう少し大きい乳児や幼児でも症状が長引くと急性気管支炎や肺炎、中耳炎などの合併症になることもあります。
ここ数年話題となっているインフルエンザ脳炎や脳症などの合併は重い後遺症を残すことがあります。
『治療方法と注意』
インフルエンザが流行しているときは早めに受診を。
3~4日たっても熱が下がらず、ほかの症状がひどくなったときは再び受診しましょう。
すぐに受診できない場合、以前に処方された解熱薬を使うママもいますが、アセトアミノフェン以外は使わないほうがいいでしょう。
また、体重によって薬の量が違うので、上のお子さんに処方された薬は飲ませないでください。
インフルエンザにはA型、B型、C型のウイルスがあり、最近はインフルエンザの型を調べるため、鼻水を綿棒でぬぐって検査する方法がとられるようになりました。
処方された薬を飲み、安静にして保温や保湿に注意しましょう。
食欲がなければ無理に食べさせる必要がありません。
吐いたり、下痢の場合は脱水症状を起こす心配があるので水分補給は欠かさずに。

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プール熱

『プール熱とは?』
夏風邪の一種で、感染者の飛沫やおなじタオルを使うことなどによって感染します。
潜伏期間は5~7日。
39~40度の高い熱が出て、のどが腫れて痛む風邪に似た症状が現れます。
耳の前やあごの下のリンパ節も腫れ、目の充血、なみだ目、目やにがでたりする結膜炎の症状を伴い、下痢や嘔吐の症状が見られることも。
熱は3~4日続き、そのほかの症状は約1週間で治ります。
『治療方法と注意』
対症療法が中心です。
安静を心がけ、つらそうな場合は解熱薬を飲ませたり水まくらなどで冷やしてあげるといいでしょう。
目の症状には点眼薬が使われることのあります。
食事はのどごしがよく消化がいいものを与え、水分をしっかり補給します。

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突発性発疹(とっぱつせいはっしん)

『突発性発疹とは?』
ヒトヘルペスウイルス6型の感染によって起こる病気です。(7型でも類似の症状をきたすことが知られています。)
潜伏期間は7~14日。
生後4ヶ月から1歳くらいまでの赤ちゃんに多く、はじめて「高熱が出た」と、ママやパパをあわてさせることが多い病気です。
突然、38~39度の高熱が3~4日続きます。
でも、熱のわりには比較的機嫌が良く、食欲もそれほど落ちないことが多いようです。
軽い下痢をしたり、せきなどの症状を併発することもあります。
熱が下がる頃からあせもに似た赤くてこまかい発疹が胸やおなかに出て、やがて全身に広がります。
手や足にはあまり出ません。
発疹の出ている時期に、不機嫌になったりかゆがる子もいるようです。
2~3日すると発疹の色が薄くなり、やがて消えます。
ほかの赤ちゃんにうつることはほとんどありません。
とくに心配をする病気ではありませんが、高熱による熱性けいれんのきっかけになったり、まれに、脳炎、髄膜炎などの合併症を起こすことがあるので経過観察が必要です。
受診は必要ですが、熱があっても機嫌が良く、水分も十分に取れているようなら、解熱薬を使わなくても自然に治ってしまうことも良くあります。
熱が出ず、発疹だけが出る場合もありますが、いずれにせよ症状が出始めたら必ず病院にいきましょう。
家では安静にさせ、水分を十分取らせることです。
『治療方法と注意』
熱のため、いつもよりミルクの飲みが悪くなったり、離乳食が進まなかったりすることが良くあります。
その場合は湯冷ましや薄めた麦茶、ベビー用イオン飲料などを与えて水分を十分に補給し、離乳食はうどんなどのどごしのいいものにします。
軽い下痢があっても、機嫌が悪くなければ普段の飲み物や食事を与えてもかまいません。
4~5日たっても熱が下がらない場合は再度受診しましょう。市販の解熱薬を乱用することは避けてください。

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りんご病

『りんご病とは?』
ヒトパルボウイルスB19の感染によって起こり、7~14日の潜伏期間のあと発症します。
2歳未満でかかることはほとんどなく、主に幼児から小学校の低学年に多く見られます。
また、両側の頬がまるで真っ赤なりんごのようになります。
顔に続いて腕や太もも、おしりなどにも発疹ができます。
体にできる発疹は、はじめはこまかく、そのうちに広がってほかの発疹とくっつきだし、レース状の網目模様になって広がります。
かゆみを感じることもありますが、それほど強くありません。
妊婦が感染すると、流産の原因となることがあるので注意が必要です。
潜伏期間が長いので、発疹が出てきたときはすでに感染力がありません。
ほおの赤みも体の発疹も7~10日くらいで自然に治っていきます。
また、合併症が出ることもほとんどありませんから、特別な治療をする必要はないでしょう。
安静にして、皮膚の清潔を保つように心がけましょう。
『治療方法と注意』
石鹸で強くこすったり、入浴して体を温めたりすると、発疹がひどくなったり、消えかかっていた発疹がぶり返すこともあるので注意が必要です。
浴槽に入ることは控え、シャワーでサッと洗い流す程度にしておきましょう。
かゆみが強いときは、かゆみどめの軟膏などを処方してもらってください。発疹以外に症状がなく、発熱などもなく元気なら普通に生活していても大丈夫です。

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百日ぜき(ひゃくにちぜき)

『百日ぜきとは?』
百日せき菌の飛沫感染で起ります。
1956年から百日せきワクチンの接種がはじまって以来、患者数は減少してきています。
当時は菌体の入ったワクチンでしたが、現在では副反応の少ない新型の精製ワクチンを使っています。
百日せきは普通のカゼのような症状からはじまります。
続いてせきがひどくなり、顔を真っ赤にして連続的にせき込むようになります。
せきのあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。
熱は出ません。
乳幼児では咳で呼吸ができず、チアノ-ゼやけいれんがおきることがあります。
肺炎や脳症などの重い合併症をおこします。乳児では命を落とすこともあります。
1970年代後半に予防接種率が低下した際、百日せき患者が多数出て、113名の死者を出しました。
このようなことを繰り返さないためにもぜひ予防接種を受けましょう。

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